脱活乾漆技法
興福寺・阿修羅像は脱活乾漆技法の代表作です。脱活乾漆とは、仏像などの彫刻制作技法の一種で、まず粘土の原型を作り、その表面に麻布を漆で貼り重ねてから、内部の粘土を掻き出すことで中空にする技法です。天平時代（8世紀）に盛んに作られました。
脱活乾漆は、乾漆造のうちの一種で、木心乾漆造と呼ばれる技法もあり、こちらは木彫像に漆を塗って仕上げる手法です。天平時代の乾漆像は、木屎漆（木粉を混ぜた漆）を厚く使用することで、柔らかく豊かな造形表現が特徴です。
代表的な作品として、興福寺の阿修羅像や唐招提寺の鑑真和上像があります。興福寺阿修羅像や唐招提寺鑑真和上像は、天平時代を代表する脱活乾漆像で、現存するこれらの仏像のほとんどが国宝あるいは重要文化財に指定されています。脱活乾漆技法は中国よりもたらされ、天平時代の乾漆像は木屎漆（麦漆に木粉を混ぜた塑形材）が肉厚に使われているため、中国の硬質の表現に対して、豊かで均整のとれた面持ちや体躯など我が国独特のやわらかな表現を生むといわれています。
麻を貼る
TARO MIZUSHIMA 