071127

071127「掌の予祝」

腰をかがめ、そっと掌を上に差し出す女性の姿。

それは何かを求める形でも、与えつける形でもなく、

ただ世界と調和するための、静かな呼吸のような所作。

争いという言葉がまだ生まれる前、

人はこうして空に向けて掌を開き、

めぐるものとただ共にあったのかもしれない。

その手のひらは、未来へ向けた小さな予祝でもある。

平和は、遠くにあるものではなく、

まず掌の内側で静かに灯るものなのだと

そっと思い出させてくれる。