草原のはてで、
風がひとすじ、
まだ名前のない音を運んでくる。
馬の影が揺れ、
蹄の鼓動が
胸の奥で小さく灯るとき、
うさぎは耳を澄ませる。
まだ見ぬ馬頭琴の旋律が、
世界の隙間で
そっと息をはじめる。