対話未遂(復唱)

ふと、ことばが宙に浮いた
どこにも着地せず、風に攫われた

私は受け取る前に、受け止めることをやめた
あなたは渡す前に、それをあきらめた

残ったのは
伝わらなかったという事実だけだった

けれど、
あの風のなかに まだ ことばの温度が残っている気がする

ひとすじの灯が 空にのぼる夜
届かなかった声が、いつかまた 巡り合うことを

私は、ここで
祈っている

昨年参加させていただきましたフランス領事館でのイベントに今年もお声かけ頂きました。
夏の大文字焼きの日に展覧会に参加させて頂きます。

限られた方々だけが集う、たった一日の展示です。
けれどその場に彫刻を置くことで、届かなかった声や、交わらなかった想いをすくい上げ、救済できればという願いがあります。

彫刻は、語られなかったことを黙って引き受ける存在です。
この静かなかたちが、誰かの中にそっと残り、
再び対話を始めるための“余白”になればと願っています。

今日も素敵な一日を。