小満 全てが満ち行く途中

草木がしだいに丈を伸ばし、田畑には青々とした稲が根を張り始めるころ。

「小満」とは、万物に“ちいさな満ち足り”が訪れる節気。

庭の紫陽花はまだ青く、母が植えた草花が日に日に濃くなっていく。

風が変わるこの時期、制作の手の中にも、どこか微かな熱が混じってくるように思います。

完成とは言い切れない、でも確かに“満ちてきた”と感じる瞬間。

彫刻も人生も、小満のような途中がいちばん豊かで、愛おしいのかもしれません。

台湾の展覧会の準備も佳境。

麻の布に漆を塗り重ねながら、この季節のうす青い光を包み込むような作品ができればと思っています。

まだ満ちきらない、でも確かに育っているものたちへ。

そんな気持ちを込めて、今日は筆を置きます。

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