Alchemist

足元に眠る宝を見つけるということ
最近、初めて『アルケミスト』という本を読みました。
こんなにも有名な本を、今まで知らなかったのが不思議なくらいです。「今だから読めた」という気もしています。

スペインの羊飼いの少年サンチャゴが、夢で見た「宝物」を探して旅に出るそんな寓話のような物語です。

旅の途中、彼は持っていたものを失い、働き、恋をして、錬金術師に出会い、風になる修行までします。
そして最後にたどり着いたのは、なんと自分が旅に出る前にいた場所。
そこに、宝が埋まっていたのです。

「宝は、足元にあった」という結末。
この言葉心に残っています。

作品をつくるとき、私たち「何か特別なもの」を探します。
新しい技法、珍しい素材、遠くの評価や注目。
でも本当に大切なことは、もっとずっと近く
毎日の暮らしの中に、すでにあるのではないかと思うのです。
たとえば、朝の光や、庭の草花。
長年使っている道具や、ふとした記憶の断片。
それらを見落とさずに拾い上げることが、私の仕事なのだと思っています。
『アルケミスト』の中でこんな言葉がありました。

「何かを本気で望むとき、宇宙全体が協力してくれる。」
私も、そう信じています。
本気で願い、手を動かし続ける人には、
かならず道がひらけていく。
たとえ時間がかかっても、遠回りをしても。
その「遠回り」が、宝の在りかを示してくれるのかもしれません。
夢を追うことは、外に出ていくことではなく、
自分に還っていく旅なのかもしれません。
今日もまた、足元を見つめながひとつ、かたちをつくりたいです。
今日も素敵な一日をお過ごしください。