何もしない余白を作る

彫刻家が教える五月病の予防・克服

――気にしない、何もしないことの大切さ

春から初夏へと移り変わる5月。心地よい風が吹く一方で、なんとなく体が重い、気分が沈む、やる気が出ない――そんな「五月病」に悩む人が増える時期です。

彫刻家の私、水島太郎がこの時期に心がけているのは、実はとてもシンプルなことです。

それは、「気にしない」「何もしない」ということ。

世の中では「怠けている」「だらしない」と見られがちなこうした時間こそ、私にとっては一番重要だと思っています。

というのも、彫刻の制作過程には、どうしても手が止まる瞬間があります。

思い描いた形がうまくいかない、素材が思ったように動かない、予定が進まない――そんなとき、無理に打開しようとすると、かえって作品は硬くなり、自分の心もすり減っていくのです。

だから私は、気にしない。

「ああ、今日は進まない日だな」と受け入れ、何もしない時間をつくります。

椅子に座ってぼんやりする、外を歩いて風に当たる、素材をただ手で触ってみる。

そんな一見“無駄”に見える時間の中で、ふっと次の一手が見えてくることがあります。

五月病の予防・克服も、同じではないでしょうか。

無理に自分を奮い立たせず、「今はこういうとき」と一度肩の力を抜いてみる。

何もしない時間を、自分に許してあげる。

それが結局、回復の一番の近道になるように感じます。

忙しさや成果ばかりを求められる時代だからこそ、「怠惰」と言われそうな時間に、堂々と身を委ねる。

その中で、心と体が少しずつ整っていくのを感じる。

私はそんな過ごし方を、これからも大事にしていきたいと思っています。

焦らなくて大丈夫です。何もしない時間を恐れず、どうぞ安心して5月を過ごしてください。

その静けさの中に、きっとあなたにしか見つけられない大事な何かが潜んでいます。

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