アントワーヌ・ブールデルに向き合う

Antoine Bourdelle アントワーヌ・ブールデル

1861-1929 / フランス

弓をひくヘラクレス(習作)」ブロンズ 1909年
(国立西洋美術館)

勝手に向き合うシリーズ:ブルデル

ブルデルの《弓をひくヘラクレス》はとても素晴らしい。

全身をねじり、筋肉を張りつめさせて、弓に祈りをこめている。

静止した彫刻の中に、爆発する寸前の力が宿っている。

それに向き合う僕、水島太郎は、

桃を割ったら猫が出てきて、その猫から太郎が飛び出た。

つまり、何がどうなっているのかよくわからないまま、

物語が始まってしまった。

ヘラクレスが弓を引くなら、

太郎は猫とともに旅に出る。

力の彫刻に、混乱の彫刻で応える。

それもまた、勝手に向き合うということだ。

2019